5-リポキシゲナーゼ

複雑怪奇なアラキドン酸の正式名称

アラキドン酸の正式名称は化学方程式になりますが、それでは研究者にも一般人にも理解しにくいということで、なるべく分かりやすい名前を付けるようになっています。
この名前はArachidonic acidが命名された最初の名前ですが、これを簡単にしたのがアラキドン酸です。

アラキドン酸は細胞膜の中にあるリン物質で、この物質の名称は、ホスファチジルエタノールアミン・ホスファチジルクロリン・ホスファチジルイノシトールと言います。
まさに難解な化学用語ですが、これではどうしようもないということで、この物質あるいは成分を最初に発見した化学者が英語で命名したのが、アラキドニック・アシドです。
つまりアラキドニク酸ですが、これでは発音もしにくく覚えにくいということで日本ではさらに簡略化しています。

では、どうしてこのような名前が付けられたかと言うことについての理由は定かではありませんが、いずれにしてもそれは、なぜお月さんをムーンと呼ぶのかと言うこととそれほど大きな違いはないでしょう。
ただし少なくとも日本人が勝手にアラキドン酸と呼んでいるわけではなく、命名者の意思を尊重してアラキドニックをアラキドンとして、原型をとどめているのです。
ちなみにacidは酸と言う意味ですから何ら問題はありません。

このような事例は化学や医学の分野ではままあることで、たとえばメタボリックシンドロームなどという言葉は通常はメタボで通用しますし、そのほかの病名も正式名はややこしくても一般人に理解しやすいような名前が付けられています。
したがってアラキドン酸をアラキなどと簡略化すると、荒木と言う人が発見したのかなどと、とんでもない誤解を招きかねませんから、やはりアラキドン酸として覚えるようにしましょう。

アラキドン酸に限ったことではなく、化学用語の語源は化学方程式では難解で、研究者には理解できても一般への啓蒙には逆効果です。
そこでここでは正式名はArachidonic acid(アラキドニック・アシド)と覚えましょう。