アラキドン酸が人体の脳細胞に必要な物質であることは言うまでもないのですが、これが体内でcoxと言う物質と反応するとPGI2を生成します。
PGI2は体内の血管や血液の正常な状態維持には大切な役割を果たしていますし、呼吸器系でも大切な役割を持っています。
人体を流れる血液には赤血球、白血球と血小板があって血小板は血液を凝固する性質がありますが、この作用を適度に抑制する役目をPGI2は持っています。
ほかにもPGI2は血管を拡張させて、スムーズな血流をうながすさようもあります。
さらには気管支を適度に緩めて正常な呼吸を維持する作用もあり、極めて重要な役割を有しています。
一方で、現在までの研究ではPGI2は逆に痛みを強めてしまう作用があることも判明しています。
これはいわば副作用的な作用とも言えますが、この点に関しては鎮痛剤の開発が進められています。
考えてみると私たちの身体は無数の細胞で構成されていて、その細胞を形成するためには無数の物質が関与していて、その中のひとつがアラキドン酸であり、この物質がcoxという物質と反応することで数珠つなぎのカスケード現象が生じて、さらに多種多様な物質が生成されるのです。
そして、生成された物質は人体の生命維持に役立つと同時に人体に悪影響を及ぼすのです。
そこで今度は悪影響を抑える研究が進み、それがたとえば痛みを増強するデメリットを持つPGI2を抑制する鎮痛剤の開発につながります。
ただしPGI2そのものは人体になくてはならない物質であるというジレンマがあるのです。
最近の研究ではアラキドン酸が持つ良い点を活用すると同時に悪い面を排除することがテーマになっていて、この研究は今後も進められる傾向にあります。
アラキドン酸とcoxがPGI2を生成することは自然の摂理であり、人工的な力は及ぶ限りではありません。
PGI2には極めて重要な働きがある一方で好ましくない面もあります。
そこで痛みを増強するなど好ましくない点を排除する研究が待たれています。